国際収支状況 2017年8月発表(6月分)

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2017年8月発表の6月経常収支は、前年比419億円減の9,346億円となった。

昨年と比べて輸出入ともに大幅に増加したものの、輸入増が上回り貿易収支が悪化。一方サービス収支、第一次所得収支の増加が寄与し、経常収支は全体で419億円減となった。

経常収支の減少、また貿易収支の悪化に伴い、理論的には円安圧力が加わることとなる。また、今年に入り、輸入、貿易ともに前年比で増加を続けており、国内外の景気が昨年から改善したことも伺える。

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非農業部門雇用者数(米国)Total Nonfarm Payrolls 2017年7月

米国の労働市場は引き続き良好、賃金の伸びも加速

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2017年7月の非農業部門雇用者数は前月比で20.9万人と、予想の18万人を大きく上回り、先月に引き続き良好な結果となった。

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また、利上げへの懸念材料の一つである賃金伸び率では、前年同月比2.5%と先月の伸びと同じペースだった。ただし、直近3ヵ月比で見ると、年率で2.8%となり、足元賃金は上昇トレンドに転じていることがわかる。

引き続き賃金が上昇の速度を早めれば、利上げへの懸念が一つ減ることになり、金利上昇、ドル高への支援材料となろう。

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消費者態度指数 2017年7月

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2017年7月の消費者態度指数は43.8と先月から0.5上昇。

昨年の平均は41~42だったため、消費者の態度は今年に入り改善傾向にある。

消費者態度指数の構成指数である「暮らし向き」「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」全てで改善傾向にある。

中でも雇用環境の伸びが大きく、一方収入の増え方の伸びは鈍い。

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消費者マインドの改善は着実に進んでいるもののペースは遅く、外部ショックによる下振れリスクは依然大きい。

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消費者物価指数 2017年6月

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2017年6月の全国消費者物価指数は、総合で前年比0.4%、コア0.4%、コアコア-0.2%、新コアコア0%となった。

日銀の物価の基調判断に使われるコアCPIは昨年のマイナス圏から転じてプラスを維持するものの、エネルギー価格を除いたコアコア、新コアコア指数でマイナスに。

携帯電話関連の価格指数や、耐久財価格の下落が足かせになっている模様。

2019年の消費増税に向けて物価の基調は底堅いとは言いにくい結果となった。

非農業部門雇用者数(米国)Total Nonfarm Payrolls 2017年6月

労働市場は底堅く拡大するも、賃金の伸びはいまいち

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2017年6月の非農業部門雇用者数は前月比で22.2万人と、予想の17.9万人を大きく上回った。失業率低下の目安である15万人は12ヵ月平均で上回っており、労働市場の底堅さを再確認する内容となった。

ただ、他の労働指標からは、未だ改善の余地が残されていることがわかる。

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2017年6月の平均賃金は前年比で2.5%の上昇で、年初の2.9%からやや鈍化している。

過去、米国は景気がピークを迎える際には、賃金は3%後半から4%程の伸びを見せていたが、現在の伸びは2%台に留まっている。

このことが市場が利上げに対して不透明感を強める理由となっている。

前回賃金が4%を向けて上昇を開始したのは2004年、前々回は1996年だが、これらはどちらもFRBが利上げを開始したタイミング。

同時に米国景気は拡大し、ドル高が進んだ時期でもある。順調にいけば、これから賃金が上向いてくると考えられるが、一向に上向かない場合に備えて、利上げも順調にいかないというシナリオも想定しておく必要があろう。

ISM製造業景況感指数(米国)ISM Manufacturing PMI 2017年6月

米国の製造業は絶好調

 

2017年6月のISM製造業景況感指数は57.8で2014年8月以来の高さ。

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10ヵ月連続の成長(50以上)。

この水準のPMIが続く場合、GDPは年率4.6%の成長となると推定され、米製造業は非常に堅調なことが伺える内容。ちなみに前回の景気サイクルでは2004年並の水準になる。

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また、新規受注、生産、雇用の各指数も堅調に推移。18業種のうち15業種が拡大していると報告した。なお、縮小と判断したのはアパレル・皮革製品、繊維、一次金属の3業種。資源価格の下落が影響している模様。

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ちなみに前回ISM製造業景況感指数がピークを付け下落を開始したのは2014年8月で、この年から原油価格の下落が始まっている。原油価格と連動していたPMIは、昨年11月の大統領選後から明らかに異なるトレンドを形成している点は指摘しておきたい。

マネタリーベース(日本銀行)2017年6月

日銀マネタリーベースの伸びのペースは鈍化

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2017年6月のマネタリーベース459兆円で、GDP85%となった。

前月比で3兆円の増加だが、前年比で見ると67兆円となっており、緩和政策の目安である80兆円からは鈍化した模様。

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今年に入ってからは前年比で80兆円を下回る月が続き、6月にはに67兆円までペースが鈍化。

テーパリング等出口戦略を考えるのは時期尚早

6月下旬に開かれた金融政策決定会合後の記者会見では、各報道機関から黒田日銀総裁に対して、テーパリングではないかとの指摘が相次いだが、総裁はこれを否定。金融緩和の枠組みであるイールドカーブ・コントロールの一環で、マネタリーベースの増加額が80兆円を下回っていると説明。マネタリーベースの拡大ペースを意図的に縮小しているわけではなく、長短金利操作の結果として67兆円になっているため、テーパリングとの指摘は適切ではなかろう。